五寸勾配の切妻屋根

五寸勾配の切妻屋根。そのシンプルなフォルムにそぎ落とす要素はない。

しばらく更新が滞ってしまっているが、細く長く書き続けていこうと思っている。

今回は屋根について。
新築を建てるとき、屋根の勾配や高さについて深く思索する施主はどのくらいいるのだろうか?
自分も、最初はそんなに気にしていなかったことなのだが、この家のフォルムを考えていくうちに、屋根の勾配や高さに妙にこだわっている自分がいることに気がついた。その気づきをココに記しておく。

印象的な外観
フォルムやファサードの側面から屋根を考えた場合、勾配がきつければきついほど印象的な外観になる。印象的な外観とは、記号化しやすく、記憶に残りやすい。小さな子どもでも「自分の家はこんな家!」と簡単に描けるファサードにしたかったのだ。「三角屋根で煙突が飛び出し、大きな窓が上下に二つ、、、」こんな感じで、サッと描ける分かりやすいファサードを目指した。

シェルター機能
印象的なだけでは不十分で機能が伴わないコトには納得できない。最も頑丈で壊れにくく、仮に壊れたとしても修理しやすい構造を希望した。その結果、辿り着いたのが「5寸勾配の切妻屋根」だった。勾配を緩くすることは最後まで悩んだが(居住空間を優先しようとすると緩くしたくなる)、パタンランゲージの「117 守りの屋根」の項目を読み、その決断に至った。その一部をココに引用する。

屋根は、私たちの生活において最も根源的な役割を果たす。最も原始的な建物は屋根そのものである。屋根が隠されていたり、建物の周囲から屋根の存在が感じられなかったり、あるいはまったく屋根がないとすれば、基本的なシェルター感覚は失われることになろう。

パタン・ランゲージ / 117 Sheltering Roof 守りの屋根

屋根の高さ
このパタン・ランゲージの「守りの屋根」を読んでから、屋根に対する考えと意識が変わった。そして、この考えのもと、改めて、「安心感を得られる家」を想像すると—それはドームハウスや竪穴式住居、アースバッグハウスや白川郷の茅葺き屋根の家、八重山諸島の伝統的な家屋,,,—どれも、屋根が近く低く、覆われている感覚が強く得られる家だった。そういう訳で、2階建てでありながらも、屋根に覆われた安心感を感じられる高さにこだわり、結果として二階部分は(いわゆる)屋根裏部屋のような屋根の低さになった。

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