むしろコミュニティビルド

中国の片田舎。地形を利用し景観と同化(形も色も違和感のないこと)している住宅。

セルフビルドというよりか

家を建てる。ということを友人に伝えると「セルフビルド?」と尋ね返されることが多い。その時の答えは「いいえ」だ。セルフではない。セルフでやることもあるかもしれないが、基本的には信頼のおける工務店の親方に普請をお願いするつもりだ。

なんとなく思い描いているヴィジョンとしては、「セルフビルドで自己実現」や「建主と受注者」という関係性を超えて、「創りたい人と造る人」を軸に、その方法論や活動に興味を持った人々がゆるく繋がりコミュニティ化(生態系化)していくこと。さらにはそれらの活動のバイブスが伝播し、カルチャーとして活動が拡がっていくといいなと思っています。壮大な感じになってしまっているけど、ざっくりとそうなったら面白い社会になっていそうだなと思います。

この家づくりは、少し特別な(コンクリートのベタ基礎を打たない)構法で施工する予定なので、構造的な部分や法律的な部分は専門家の方にお任せするのが良いと考えていて、加えて地元の不動産の方や工務店の方と関わることで、この構法に対する理解がその地域の知的財産になればさらに良いことだと思っている。そして家を建てる過程を体験的に進めていくことで、建築に対する体験知をコミュニティのみんなに共有していきたい。さらには300年後くらいに、(日本古来の)伝統構法による石場建ての家として地域の資産になったなら、それは嬉しい。

この自分が望んでいる状態を想像しつつ、その建築過程をそれらしいコトバとして当てはめてみるならば「コミュニティビルド」となるのかもしれない。ここでいう「コミュニティ」とは何か。これは少し前で記述した興味のもとにコミュニティ化していくそれのことで、今後このプロジェクトに関わるみなさんがコミュニティの一員となってということなんだと思います。このコミュニティに対して帰属意識が強くなること(熱狂的なファンになること)自体はこのコミュニティに求めている訳ではないので、少しでも興味を持ってもらって、細くゆるく(時に固く)お付き合いいただけるととっても嬉しいのです。出来上がるまでに1回くらい手伝いに行こかな!そんなノリで大丈夫です。(もちろん、ガッツリ手手伝って頂けるとメチャクチャ助かります。笑)
そして、21世紀にも石場建てを建てることが出来る職人の方々が存在していることを知って欲しいと思っています。

コミュニティビルドの原体験

パタゴニア北部のとある片田舎にある家。地域の男たちが総出で上棟したそう。少しくらいの傾きやズレで豊かに暮らせないという訳ではないことを実感した。

「コミュニティビルド的な家づくり」というコトバをイメージに起こしてみると、パタゴニア地方を訪れて見た家のことを思い出す。パタゴニア北部地方の田舎の街に3週間ほど滞在した時、訪問した家のほとんどがコミュニティビルド(一部はセルフビルド)だった。その家の主人が出来る範囲のことは自分で施工し、上棟などの手数がかかる施工は地域の男手が手を貸して家が建てられているそうだ。それらの家を訪れる度に、愛情とたくましさをそれらの家から学んだ。洗練されていて快適性が十分という訳ではないけれど、とにかく温もりがあって柱1本1本を見ていてもその家の主人の顔が浮かんだり、地域の男たちの顔を眺めているような感覚になった。このあたりの地域は流通が整っていない地域ということもあって、材料の調達も身近な山林から地域の男手で切り出し加工と乾燥を行っているそうだ。そうやって地域の(限られた)資源で作られた家での暮らしを眺めてみると、「望むべき豊かな家を建てて暮らす」という思考ではなく、「(限られた資源の中で)建てられる家で豊かに暮らす」という思考に変化して、吟味された(禁欲的な)生活も楽しく実践出来きそうに思う。そもそも、この「限られた資源の中で暮らすこと」という考え方は、産業革命以前まではごく当たり前のことだったのだから、進化した回帰的暮らしを模索したい自分とっては合っているのだと思う。

コミュニティのはじまりの予感

10m以上に伸びた真竹は重い。これらの竹が自分たちが暮らす家の材料となる。

先日の竹取りでは、職場の同僚が多数応援に来てくれた。総数400本もの竹を裏山から頂くことが出来た。みんなキラキラした顔で山に入り竹を切り出し運び出してくれた。みんなが1本1本の竹と向き合って運び出したことを思うと、1本の竹が貴重な資源に感じるし無駄には出来ない。という思いになる。そして、今回竹を提供してくれた(現在住んでる家の)大家さんには感謝をしてもしきれない。今回の竹取合戦で、なにより嬉しかったことの1つは友人家族が竹取をしている間に夕飯の準備と焚火の準備をしてくれていたこと。自主的に出来ることを判断して、その人(やその家族)が出来るサポートしてくれたことに感謝感動しているのです。笑

竹を少し持ち帰る。という条件で参加してくれた先輩。とにかく嬉しくてたまらない。

気がついたときには、コミュニティビルドに足を踏み入れていて、なんだか自分らしい家づくりに感じてきてとても心地がよいです。何よりこのプロジェクトの大黒柱になっている杢巧舎(湯河原にある工務店)のみなさまのサポートがあってこそではありますが。
まだまだ、どんな家ができあがるのか分かりませんが、まずは大家さんの家の裏の竹林が少しキレイになって嬉しいです。

今後も男女問わず、サポートしてくださる方を募集します。力仕事もありますが、食事づくりのサポートや子供達の遊び相手などなど、とにかく現場に来ていただければそれが力になります。どうぞよろしくお願いします。

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