わが家の壁は土壁を採用することになった。土壁はただ土を塗り固めていくわけではなく、下地となる竹小舞を編み、その下地に土を塗ることで壁になる。
たまに今にも朽ち果ててしまいそうな家を見かけることがある。外壁が剥がれて、中の土も剥がれ下地の竹小舞が見え隠れしている。僕にとっての土壁とはそういう朽ち果てたものだったり、成れの果てというイメージの方が強かった。というのが第一印象だった。
この土壁の下地となる竹小舞の材料となる(自伐した)竹を割るのが今回の仕事だ。素材の調達、加工、施工と段階的に家づくりに関わることが出来る事がうれしくもあり、たのしくもある。
いつものごとく仲間に声をかけ、作業現場となる杢巧舎の下小屋へと向かった。
下小屋には、今住んでいる家の裏から切り出した約200本の竹が積まれていた。この竹をコツコツと割る。とにかく割る。ただそれだけなのである。大変だけど、コツコツ割ればいつか終わり、家づくりが一歩進む。身体を一つ動かせば、家の完成に近づく。とてもシンプルだ。
竹の太さを見ながら、ほどよいサイズの竹割をあてがいドスンドスンと重力を利用して竹を割っていく。今回は最大12分割できるものが最も太い竹に対応できる竹割で通称『12割(じゅうにわり)』のパンプアップ感は強烈で延べ2日間行った作業で全身が筋肉痛になった。笑
家の裏にある竹で家を作るということ。限られた資源を必要な分だけ調達し、みずからの手で加工する。鬱蒼とした荒れた竹林に光が差し、地域の里山がわずかではあるが良い方向へ転換する。農薬など環境に影響を与える化学的なものを使用することなく真っ直ぐに育つ竹は、貴重な資源であり活用すべき資源であることは間違いない。日本の里山に放置された竹林を有効に活用するには、土壁はあかるい兆しなのかもしれない。